股関節(足の付け根)の痛みの原因とその解説
股関節(足の付け根)の痛みの原因とその解説
股関節の痛みが出たら?最初にチェック!!
こんな症状が出れば、早急に受診してください
1 交通事故後に痛みが生じた痛み
2 太ももや膝から下、足にかけて 痺れや脱力感(力が入りにくい)といった症状がある
3 股関節の痛みと共に発熱を認めるもの
4 転倒、転落、打撲後に強い痛みが生じたもの
5 痛みが強く日常生活に支障をきたすもの
6 解決できない慢性的な痛みが続いている
以下に簡単な解説を行います。
1 交通事故後に痛みが生じた痛み
交通事故による負傷は様々なものがあります。軽い事故で問題がないと思っていても、後から痛みが増幅する場合がありますので、どれだけ弱い痛みであっても、早急に受診することをお勧めします。以下のリンクもご確認ください。「交通事故について」
2 太ももや膝から下、足にかけて 痺れや脱力感(力が入りにくい)といった症状がある
痺れや脱力感があるいは広い範囲の痛みが伴う場合は、神経に問題が起きている可能性があります。「排尿や排便時の感覚がわかりにくい」といった症状がある場合は、早急に受診してください。
3 股関節の痛みと共に発熱を認めるもの
感染による関節炎の可能性があります。特に乳幼児や高齢者、過去に股関節の手術をした方は要注意です。症状が進行すれば、股関節の脱臼や大腿骨頭の壊死等に繋がる可能性があります。早期の治療が必要です。
4 転倒、転落、打撲後に強い痛みが生じたもの
特に高齢者は注意が必要です。高齢者の転倒で一番発生しやすいのが、大腿骨頸部骨折です。この骨折はほとんどの場合で手術が必要になります。
5 痛みが強く日常生活に支障をきたすもの
歩きにくい、階段の昇り降りがしにくい、椅子の立ち座りが難しい等、日常的に症状がある場合は、股関節に何らかの問題をきたしている場合が多いです。このような状態では、他の筋肉や関節で動作を代償します。姿勢も崩れやすくなり、腰や膝等の他の部位への負担が大きくなり、新たな痛みにつながる可能性があります。
6 解決できない慢性的な痛みが続いている
「痛み」には様々な要素があります。必ずしも単純な外傷や整形疾患など、身体へのストレスだけが痛みの原因になるわけではありません。 例えば睡眠不足が痛みに関係する事もあります。自律神経の乱れや、急激に加わる心へのストレス。なんとなくの不安が蓄積することで身体に症状が現れる方もおられます。 日本では、慢性疼痛へ対する考え方が深く浸透していません。そのせいで解決できない痛みに苦しんでいる、痛み難民の方が数多くおられます。 少しでも気になる方は、こちらのリンクをご参照ください。「慢性疼痛について」
股関節に関係する代表的な疾患
股関節の痛みは様々な疾患が原因で発生することもあります。
疾患によっては、可動域制限(関節の動きの幅が狭くなる)、筋力の低下、日常生活動作の障害になるものから、手術が必要になるものまで様々です。
代表的な股関節の疾患についてまとめていますので、こちらをご覧ください「股関節の疾患について」
股関節が痛くなれば何科を受診すればいい?
股関節の痛みが気になる際に受診する診療科は、ズバリ「整形外科」です。
股関節に限らず、関節の痛みや動かしにくさが気になる場合も整形外科をご受診ください。
股関節痛の考え方
日常生活において股関節は常に使用される重要な関節です。
様々なストレスが蓄積することで、股関節痛が生じます。この痛みが発生する背景には、多様な要因が絡み合っていることが多いため、解決方法も様々です。そのため、痛みの解決のためには総合的なアプローチが必要です。
様々なストレスが股関節へ与える影響
股関節へのストレスは、日常生活において無意識のうちに蓄積されていくものです。いわゆる体の硬さや筋肉の柔軟性低下はもちろん、長時間の座り姿勢や立ち仕事、重い荷物の持ち運びなどが原因となることがあります。激しいスポーツや誤った体の使い方に起因する場合もあります。また、肥満体型であるとそれだけで股関節への圧力が増します。使いすぎや加齢による関節機能の低下も痛みの発生に繋がります。そのほかにも、仕事や家庭でのストレス、股関節の違和感による恐怖や不安等、心因的なもので痛みを発症するケースもあります。
筋肉の硬さが股関節へ与える影響
仕事や家事が股関節へ与える影響
スポーツが股関節へ与える影響
肥満が股関節へ与える影響
体重が下半身へ与える影響は大きく、股関節だけでなく、膝関節や足部にもストレスを与えます。肥満による股関節への荷重ストレスに、他の要因が重なることでより大きなストレスを股関節へ与えてしまいます。解決策はダイエットです。過度な食事制限などは健康を害する恐れがあります。適度な運動(主に有酸素運動)、適度な食事の調整が必要です。生活習慣を変えるのは大変です。ダイエットを維持するためのモチベーションをコントロールすることが非常に重要になります。
心因的なストレスが股関節へ与える影響
意外と知られていませんが、心因的なストレスは疼痛へ対し影響を与えます。この影響は決して軽視できるものではありません。痛みを感じる部位はどこでしょうか?それは脳です。股関節の痛みは、関節や筋肉、靭帯から出る疼痛信号を脳が受け取り、それを私たちは痛みとして知覚します。心因性のストレスが脳へ影響を与えると、実際に痛んでいない部位へ痛みを感じたり、本来はとても少ないはずの痛みを大きな痛みと知覚することがあります。慢性的な痛みが継続している方は要注意です。痛みそのものが心因的なストレスの増大につながり、悪循環をおこす可能性があります。このような痛みには、従来の治療を行っても効果が表れにくいことがあります。認知行動療法や即時的に痛みを和らげる体操など、様々な方法を試し、その方へ合った治療方法を見つけ出す必要があります。次のリンクもご参照ください。「慢性疼痛について」
最後に
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。今回は股関節の痛みが気になる方へ向けて、記事を作成させていただきました。細かい解決方法までは記載できていませんが、股関節の痛みについて大まかに理解して頂けたと思います。痛みには様々な原因があります。その原因に対しての解決方法も多々あります。間違った方法を行えば、悪化してしまうこともあります。股関節の痛みや違和感で不安がある方は、一度整形外科へ受診することをお勧めします。医師の診断、理学療法士による評価を行ってもらうことで安全に、効果的に痛みの対策をしていきましょう。
執筆者
監修者
参考書籍
内田淳正「標準整形外科学」医学書院,2012,990p