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冷房病にご用心!夏に起こりやすい自律神経の乱れと予防対策

睡眠・ストレス・鬱病

冷房病にご用心!夏に起こりやすい自律神経の乱れと予防対策

執筆者 作業療法士 丹野愛

監修者 整形外科医 森裕展

近年の日本は、これまでにないほど厳しい暑さに見舞われるようになってきました。気象庁の報告によると、1898年から2024年の間に日本の年平均気温は100年あたり約1.4℃のペースで上昇しており、猛暑日や熱帯夜の日数も着実に増えています。1)今後も、暑さが厳しくなると見込まれています。そのような毎日の中で懸念されるのが冷房での冷やしすぎによる冷房病です。今回は自律神経とも関与する冷房病についてお伝えしていきます。

冷房病とは

近年の気温の上昇から冷房は熱中症予防に欠かせない存在です。一方で、冷房環境下によって、次のようなさまざまな身体の不調が現れる場合があります。

  • ・身体がだるい
  • ・頭が重い
  • ・手足が冷える
  • ・手足がしびれる
  • ・お腹の調子が悪い
  • ・頻尿
  • ・肩こり
  • ・腰痛
  • ・よく眠れない
  • ・生理不順
  • など

冷房環境下で長時間過ごしたとき」「冷房の冷たい風が直接身体に当たったとき」「冷房で冷えた室内と屋外の気温の差が大きいとき」などにみられる不調は冷房病と呼ばれます。2)

冷房病には自律神経のバランスの乱れが関与

冷房病の原因として考えられているのは自律神経のバランスの乱れです。人の身体は外気温の変化に合わせて体温を調節する機能を備えており、その調整を担っているのが自律神経です。

自律神経には交感神経と副交感神経があり、それぞれがバランスを取りながら、血管の収縮・拡張や発汗などを通じて体温の調節を担っています。

暑さを感じると、交感神経が働いて血管を拡張させ、汗をかくことで体内の熱を逃がそうとします。一方、寒さを感じるときに血管を収縮させ、熱が外に逃げすぎないように調整するのが副交感神経です。

交感神経と副交感神経がうまく切り替わることで身体は気温の変化に対応し、一定の体温を保っています。しかし、急激な温度変化を繰り返すと、切り替えの調整がうまくいかなくなり、冷房病のような体調不良が起こる原因になります。

関連記事:寒暖差が自律神経に与える影響とは?不調や痛みを軽減する対策も紹介

自律神経を守る冷房病対策

自律神経の負担を軽減し、冷房病を予防するための環境設定や身体づくりについて説明します。

冷房病を予防する環境設定

2025年7月の東京都の日平均気温は29℃、日最高気温は34.3℃です。(2025年7月9日現在) 3連日のように厳しい暑さが続くなか、外から室内に入った直後は冷房の温度を一気に下げたくなるかもしれません。

しかし、冷房病の症状は、冷房の設定温度が27℃以下で現れ始め、25℃以下では明らかに増加するという報告もあります。4)さらに、屋外と室内の温度差は7℃以内に抑えることが身体への負担をかけない目安とされています。2)

熱中症対策として「室温は25℃~28℃」を保ちながら、冷房設定温度は25℃以下に下げないように調節することが大切です。2),4)そのためには、扇風機やサーキュレーターを併用して室内の空気を循環させ、冷房を効率よく活用しましょう。

冷房病を予防する身体づくり

血流が悪くなると、自律神経による血管の収縮・拡張の調整がうまく働かず、体温調節が乱れやすくなります。また、体内で熱をつくり出す筋肉の量が少ないと、体が冷えやすくなりがちです。さらに、不規則な生活や強いストレスも自律神経のバランスを崩す要因になります。

冷房病の予防には、生活リズムを整えることに加えて適度な運動で筋肉量を維持し、血流を良くしておくことが大切です。

冷房病対策チェックリスト

以下の点を意識できていますか?チェックして、自律神経への負担を軽減しましょう。

□冷房設定は25℃以下になっていませんか?
□室温は25℃~28℃に保たれていますか?(※冷房設定温度ではなく「室温」を確認)
□冷房の風が直接当たる場所で長時間過ごしていませんか?
□就寝中に部屋が冷えすぎないように設定していますか?
□外出から戻った直後に 一気に冷房の温度を下げていませんか?
□冷房時には扇風機やサーキュレーターで空気を循環させていますか?
□長時間の冷房環境下で身体が冷えないように靴下や膝かけなどでカバーしていますか?
□運動習慣を持ち、身体を意識的に動かしていますか?
□規則正しい生活を心がけていますか?

関連記事:【医師監修】自律神経の乱れや生活習慣をセルフチェック!慢性的な痛みや不調の原因も解説

環境づくりと身体づくりで冷房病予防を

冷房は昨今の猛暑を乗り切るために欠かせませんが、冷やし過ぎると自律神経が疲弊して冷房病による倦怠感や胃腸の不調、肩こり、腰痛などが起こります。自律神経を守り、冷房病を予防するには、適した温度設定や屋外と室内の気温差が大きくなりすぎないような環境づくりが大切です。

体温調整に関わる血流や筋肉量を維持することは自律神経を守るうえで役立ちます。運動習慣を持ち、規則正しい生活を意識して、暑さに負けない身体づくりで冷房病を予防しましょう。

 

執筆者

作業療法士 丹野 愛

監修者

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