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自律神経と呼吸の深い関係!浅い呼吸は要注意?呼吸筋ストレッチも紹介

睡眠・ストレス・鬱病

自律神経と呼吸の深い関係!浅い呼吸は要注意?呼吸筋ストレッチも紹介

執筆者 作業療法士 丹野愛

監修者 整形外科医 森裕展

「肩がこる」「寝つきが悪い」「集中できない」そのような不調には、浅い呼吸が関係しているかもしれません。普段無意識に行っている呼吸ですが、意識的に行うことも可能です。

本記事では、呼吸の種類や自律神経との関係を解説します。浅い呼吸のセルフチェック法、呼吸筋のストレッチ方法についてもお伝えしています。呼吸筋の柔軟性を高めて深い呼吸がしやすい状態をつくり、自律神経のバランスを整えていきましょう。

呼吸の種類

呼吸は無意識に行われる自律的な生理現象でありながら、意識的なコントロールも可能です。感情によっても変化し、呼吸は無意識に行われる代謝的呼吸、意識して行う随意呼吸、感情と連動する情動呼吸の3種類あります。1)

①代謝性呼吸

エネルギー代謝を目的とした無意識に行われる呼吸です。延髄・橋の脳幹でコントロールされます。

②随意呼吸

深呼吸といった意識的に行われる呼吸です。大脳皮質からの指令によりコントロールされます。

③情動呼吸

感情によって浅く速くなったり、ゆっくり深くなったりする呼吸です。扁桃体と関係しています。

呼吸と自律神経の関係

自律神経は交感神経と副交感神経からなり、2つの神経がバランスをとりながら身体の働きを調整しています。呼吸にも自律神経が深く関わっており、息を吸うときには交感神経が働きやすく、息を吐くときには副交感神経が優位になると考えられています。2)呼吸のリズムにあわせて自律神経も切り替わるような仕組みです。

怒りや不安、緊張などのストレスを感じると、身体は交感神経優位の状態となり、自然と呼吸が浅く速くなります。この呼吸は「胸式呼吸」です。一方、心が落ち着いているときは副交感神経が働きやすくなり、深くゆったりとした「腹式呼吸」となります。

深くゆっくりとした腹式呼吸は、心を落ち着かせるリラクセーションの手段としても有効です。呼吸を整えることは、自律神経のバランスを整える方法の一つとして、日常生活でも取り入れることができます。3)

深呼吸方法の動画はこちら

浅い呼吸をセルフチェック

呼吸の浅さを自覚するのはなかなか難しいでしょう。自分では「普通に呼吸している」と感じていても、ストレスや緊張によって無意識のうちに呼吸が浅く速くなっていることもあるかもしれません。

最長発声持続時間(MPT:Maximum Phonation Time)

客観的に自分の呼吸の状態を簡単に確認する方法の一つとして「最長発声持続時間(MPT:Maximum Phonation Time)」が活用されることがあります。本来は音声障害を評価する指標であり、呼吸の状態を正確に診断するためのものではありません。そのため、あくまでも自分の呼吸の状態を知る一つの目安として、日常のセルフチェックの一環としてご参考ください。

MPTの測定方法

一定の高さと強さの声で「あー」とできるだけ長く発声し、声を出し続けられた秒数を測定します。MPTの値の平均値は成人男性約30秒、成人女性の約20秒です。4)

MPTの値が10秒以下になると声が持続しにくくなり、日常生活での会話で疲労を感じるようになるとされています。5)MPTの低下は呼吸の浅さと関連している可能性があり、自律神経のバランスの乱れにも関与していると考えられます。

浅い呼吸でみられる心身の変化

浅い呼吸は交感神経優位な状態と関わりがあります。交感神経優位な状態により、次のような症状がみられる場合があります。

肩こり・首こり・背中の張り

筋緊張が高まり、肩や首、背中の筋肉の張り感、こり感につながります。

睡眠の質低下

心拍数や血圧の上昇により、リラックスした状態になりにくく、睡眠の質が低下しやすくなります。睡眠不足による慢性的な疲れなどにつながる場合もあります。

手足の冷え、消化機能の低下

末梢血管が収縮しやすく、血流の悪化により、手足の冷えやむくみ、胃腸の働きの低下による便秘などがみられる場合があります。

集中力・注意力の低下

脳の血管が収縮すると血流が低下して集中力・注意力が低下しやすくなります。

イライラ・焦燥感

交感神経優位となると、ストレスホルモンのコルチゾールなどの分泌により、6)イライラや焦燥感がみられます。

ストレス対策のリラクセーション方法(漸進的筋弛緩法、横隔膜呼吸法)はこちらの記事もご参考ください。

自律神経を整える呼吸筋ストレッチ3選

呼吸筋は、吸うときに胸郭を広げる吸息筋と、吐くときに胸郭を縮める呼息筋に分けられます。横隔膜や肋間筋をはじめ、腹筋群、斜角筋、胸鎖乳突筋などの胸郭や腹部、首・肩まわりの筋肉が挙げられます。1)

猫背の姿勢をとっていると、横隔膜が十分に下がらず、胸郭の可動域が狭くなって浅い呼吸に陥りやすくなります。呼吸筋の柔軟性を保ち、よい姿勢を意識することは、深い呼吸を保つためにも重要です。肩、背中・胸、脇の筋肉のストレッチ3つを紹介します。

① 肩のストレッチ

肩を上に上げ、後ろに回しながらおろします。ゆっくり3~5回。

② 背中と胸のストレッチ

両手を前で組んで背中を丸くします。そのあと両腕を後ろに伸ばし、胸を開きます。ゆっくり3~5回。

③ 脇のストレッチ

両腕を組んで上に上げ、左右に倒して脇を伸ばします。3~5回。

呼吸筋である腹筋群、僧帽筋・脊柱起立筋のストレッチの動画はこちら

呼吸筋の柔軟性と深い呼吸を意識して自律神経のバランスを整えましょう

呼吸と自律神経は密接に関係しています。浅い呼吸と交感神経は関与しており、交感神経が優位になると心身にさまざまな不調を引き起こす可能性があります。リラクセーションにもなる深い呼吸を行うには、呼吸筋の柔軟性を保ち、正しい姿勢を意識することも重要です。呼吸筋のストレッチで胸郭や横隔膜の可動性を高め、深くゆったりとした呼吸を取り入れ、自律神経のバランスを整えましょう。

執筆者

作業療法士 丹野 愛

監修者

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