デスクワークから背中を守るグッズと正しい使い方
デスクワークから背中を守るグッズと正しい使い方
デスクワーク時の背中のこりや疲れに対して、どんなグッズが有用なのか?
という観点から、グッズを選ぶ際の考え方について、現役理学療法士が解説します。
執筆者 理学療法士 宇都宮雅人
監修者 整形外科医 森裕展
デスクワーク時の背中の痛みに有用なグッズはこの3つ
①ひじ掛けがある、高さ調節ができる椅子
②パソコン台(ノートPCの方は外付けキーボードも)
③座面クッション
なぜデスクワークで背中がつらくなるのか?
まず初めに、痛みやダルさが出現する理由や影響する箇所は多様にあります。
ここでは、姿勢と背中へかかる負担の関係について
①頭の位置
②腕の位置
③骨盤の位置
の3つに分けて説明させていただきます。
①頭の位置
人の姿勢の支え方について、背骨と筋肉の観点から簡単に説明します。
人間の体は、重い頭が背骨の上に乗っており、この背骨が体の軸となっています。背骨を周囲の筋肉等が支えることで、姿勢を保つことができます。
頭の位置が、体の中心に対してどの方向へ位置するかによって、以下のように筋肉の働きが変わります。
頭が前に位置するとき
背筋群の活動が強くなり、体が前に倒れないように支えます。
頭が後ろ位置するとき
腹筋群の活動が強くなり、体が後ろに倒れないように支えます。
頭が右に位置するとき
体の左側面の筋群が働き、体が右に倒れないように支えます。
頭が左に位置するとき
体の右側面の筋群が働き、体が左に倒れないように支えます。
上記のように、頭の位置の違いで、働く(負担がかかる)筋肉が変わってきます。
これにより、姿勢を維持するためのバランスが保たれています。
パソコンを見るために、顔を前に突き出したり、大きく下を向くと背中の負担が増加します。
②腕の位置
背中に関係する腕の位置について簡単に説明します。
上腕(肩から肘までの腕)の位置により、背中の負担が変化します。
上腕が垂直に下りている状態
背中への負担が最も少ない状態です。
上腕が前へ出るとき
背筋が丸まりやすくなり、背中の負担が増加します。
上腕が後ろへ引いた状態
肩の後面と肩甲骨周囲(背中)の筋肉の活動が強くなり、負担がかかります。
③骨盤の位置
骨盤は、背骨の付け根になります。
骨盤には、前傾、後傾という動きがあり、骨盤の動きはそのまま背骨へ影響を与えます。
前傾
お尻を後ろに突き出すような動き。腰が反る。
後傾
下腹を丸めながら、お尻の穴を前に向けるような動き。腰が丸まる。
骨盤の前傾が強くなると、腰の反りが強くなり、腰の負担が増えます。
後傾が強くなると、背中全体が丸く(猫背)になり、背中への負担が増えます。
身体の位置と活動する(負担が増える)箇所 一覧表
デスクワーク時”背中がつらい”とお悩みの方に有用なグッズを、姿勢の観点から考察していきます。
デスクワーク時の理想の姿勢
デスクワーク周りのグッズを選ぶ際は、上記の姿勢を目指して、どのような製品が自身に合うか考えてみましょう。
なぜ、この3つのグッズがデスクワーク時のつらい背中に有用なのか?
①高さ調節が可能な椅子
足と床の距離を調整できるので、安定した姿勢を維持できるようになる。
高さを変更できるので、クッションやパソコン台等を使用する際に調整ができる。
足がどうしても浮いてしまう場合は、足台などを利用してください。
②パソコン台(ノートPCの方は外付けキーボードも検討)
パソコン場面の高さを調整し、目線の位置を変えることが出来ます。
ノートパソコンを使用する場合は、外付けキーボードを利用し、腕の位置を調整しましょう。
③クッション
座面タイプのクッションと、腰に当てるタイプのクッションがあります。
座位姿勢を続けると、骨盤が後傾していき、腰が丸くなっていく方がほとんどです。
座面クッションは、後方(背中側)が高く、前方(太もも側)が低くなるように、傾斜がついているものがお勧めです。骨盤を前傾しやすくなります。
腰に当てるクッションは
・腰の高さがあっているか
・持たれたときに腰が軽く反るぐらいの丸みがあるか
を確認して下さい。腰の位置が合わなかったり、丸みが強すぎたり、弱すぎたりすると、効果は薄くなります。
デスクワーク時の背中の負担が、グッズで解消できなければ?
いかがでしたか?
デスクワーク時のつらい背中へ対して、どのようなグッズが有効であるか、いくつかのポイントをお伝えさせていただきました。
こちらでは具体的な商品の紹介はしませんが、グッズを検討する際の目安にして頂ければと思います。
グッズを使用しても、デスクワーク時の背中のコリや痛みが解決しない場合は、整形外科的な疾患や慢性疼痛が原因の場合があります。
長引く痛みの場合は、一度整形外科を受診されることをお勧め致します。
執筆者 理学療法士 宇都宮
監修者 整形外科医 森裕展