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ストレートネック対策にタオル枕は効果的？適切な使い方を解説

2025.12.09
全てのセルフケア

ストレートネック対策にタオル枕は効果的？適切な使い方や枕の選び方を解説

執筆者　作業療法士　丹野愛

監修者　整形外科医　森裕展

スマートフォンの操作やパソコン作業が長時間におよぶ生活が当たり前になり、首や肩のこり、頭痛などの不調を感じるストレートネック（スマホ首）という言葉を耳にする機会も多くなりました。

ストレートネックの対策の一つとして注目されているのが枕の見直しです。枕は眠っている姿勢に影響し、首まわりの負担にも関係します。手軽に用意できるタオル枕は実際にストレートネックの改善にどこまで役立つのでしょうか。

本記事では、タオル枕がストレートネック対策に本当に効果的であるか、メリット・デメリット、適切な使い方について解説します。

ストレートネック対策では枕選びも意識したいポイント

ストレートネックとは、本来はゆるやかな前方カーブ（頚椎前弯）があるはずの頚椎が、まっすぐに近い状態、あるいは後ろ向きにカーブしている状態です。頚椎前弯が小さくなると頭の重さを支えにくくなり、首や肩の筋肉に負担がかかりやすくなります。

（Michael L Martini et al.2020）1）の日本人の無症状成人を対象にした研究では、C2–C7 の平均前弯角（Cobb角）は 13.9 ± 12.3度と報告されています。睡眠中の頚椎カーブは枕の高さや形状によって変化するため、枕選びもストレートネック対策の一つとして意識しておきたいポイントです。

ストレートネックの詳しい説明はこちら

枕の種類による頸椎前弯の変化

（Mi Yang Jeon et al.2014）2）による20名の無症状者を対象に、整形外科枕（頚椎支持部が半円形でポリプロピレン製のカプセル素材を使用）、低反発枕、羽毛枕を30分間仰向けで使用後に頚椎のC2–C7 Cobb角を測定した研究があります。

  • Cobb角の変化は次のように報告されています。
    ・整形外科枕：−3.83度→ 7.70度（前弯角度が増大）
    ・低反発枕：−3.83度→−0.33度（わずかに前弯角度が増大）
    ・羽毛枕：−3.83度→−6.20度（さらに前弯角度が減少）

報告結果より、形状のみを比較すると、頚椎を下から支える半円形構造が頚椎前弯を再現しやすいと言えるでしょう。

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  • ストレートネック対策にタオル枕は効果的？

  • タオル枕とは、タオルを丸めて円筒状にした簡易的な枕です。 円筒状の部分を首の下に置くことで頚椎の前弯を補う構造です。

    タオル枕のメリット

    • ・自宅のタオルで手軽に作れる
      ・高さを自由に調整しやすい
      ・円筒形状のため頚椎のカーブを補いやすい

    タオル枕のデメリット

    • ・重みでつぶれやすく、形が安定しにくい
      ・寝返りで形が崩れやすい
      ・一晩中同じ形を保つのは難しい

    • タオル枕は長時間のサポートは難しい

    タオル枕では夜間の睡眠中に持続して頸椎前弯角度を保って支えることは難しく、あくまで一時的に頚椎の前弯を補うことしか期待できません。

    さらに、前述の（Mi Yang Jeon et al.2014）２）の研究では、枕の快適性や温度についても比較されています。頚椎前弯が増大した整形外科枕は快適性も高く、30分使用後の温度上昇も3つの中で低い（平均+1.53℃）と示されました。これは、枕の素材（ポリプロピレンカプセル）が空気循環を促し、熱をこもらせにくかったためと考察されています 。

    タオル枕は綿などの素材では通気性や吸湿性が期待できるかもしれませんが、形状の不安定さに加え、素材によっては熱がこもる可能性もあります。

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  • 長時間の睡眠用というより、デスクワークの合間の休憩時に首を休める目的や、自分に合った枕の高さを試したいときに活用できるでしょう。

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  • ストレートネック対策での枕の選び方

枕選びでは、形状や素材だけでなく高さも重要です。タオル枕のメリットとして高さ調整のしやすさがありますが、適した枕の高さはどれくらいなのでしょうか。

（Hyung Cheol Kim et al.2015）3）の16名の無症状者を対象にした0cm、10cm、20cmの高さの枕の比較では、仰向けで寝る場合、正常範囲の頸椎前弯を維持するには10cm程度の高さが適切であったと述べられています。ただし、使用者の快適性は評価されておらず、あくまで目安の一つとされています。

ストレートネック対策の枕選びでは、形状、高さ、素材は以下の要素を満たすと適切な頸椎前弯を保持しやすいでしょう。

・形状：首の自然な前弯カーブを下から支える形状
・高さ：約10cmを目安に首が反り過ぎずまっすぐになり過ぎない高さ
・素材：熱がこもりにくい素材

  • しかし、頸椎前弯は個人によっても異なるので、実際に寝てみて首や肩に負担がかかりにくい枕を選ぶことが大切です。

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  • ストレートネック対策にタオル枕は一時的・補助的な使い方を

  • タオル枕は家にあるバスタオルなどを使用して手軽に試せるため、一時的、補助的な対策として使用できますが、一晩中適した頸椎前弯をサポートし、首にかかる負担を軽減するのは難しいと言えるでしょう。また、ストレートネックは、枕を変えるだけでは根本的に改善しません。あくまで補助的な対策として位置づけ、生活習慣の見直しと姿勢改善や首のストレッチなどを組み合わせることが大切です。

首のストレッチ動画はこちら

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    首の症状はストレートネックではなく、頸椎椎間板ヘルニアなどで神経を圧迫されている可能性もあります。「首の痛みが続いている」「腕や手にしびれやだるさがある」「頭痛やめまいが起こる」「首を動かすと痛みが走る」「手の細かい動作がしづらくなった」などの症状がある場合は整形外科へ相談しましょう。

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  • 執筆者
  • 作業療法士　丹野　愛
  • 監修者
  • 参考
  • 1）Michael L Martini et al.Cervical Spine Alignment in the Sagittal Axis: A Review of the Best Validated Measures in Clinical　Practice  Global Spine J. 2020.18;11(8):1307–1312
  • https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8453677/
  • 2）Mi Yang Jeon et al.Improving the Quality of Sleep with an Optimal Pillow:A Randomized, Comparative Study Tohoku J. Exp,2014, 233,183I-m1p8r8oving
  • https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25008402/
  • 3）Hyung Cheol Kim et al.The Effect of Different Pillow Heights on the Parameters of Cervicothoracic Spine Segments Korean J Spine
    .2015;12(3):135-138
  • https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26512267/