【医師監修】歩ける程度(軽度〜中等度)のぎっくり腰の正しい対処法・受診目安
【医師監修】歩ける程度(軽度〜中等度)のぎっくり腰の正しい対処法・受診目安

執筆者 理学療法士 宇都宮雅人
監修者 整形外科医 森裕展
ぎっくり腰になると、「とにかく安静にしなければならない」と考えてしまう方は少なくありません。 しかし、歩ける程度のぎっくり腰では、安静にしすぎることが必ずしも良いとは限らず、かえって回復が遅れてしまうケースもあります。 この記事では、「歩ける程度のぎっくり腰」とはどのような状態かを整理したうえで、症状の程度に応じた正しい対処法や注意点、受診の目安について解説します。
歩ける程度のぎっくり腰とはどんな状態か
歩ける程度のぎっくり腰とは、「軽度・中等度」のぎっくり腰で、日常生活がある程度保てている状態を指します。
まずは症状の程度を確認してみましょう。
軽度・中等度・重度のぎっくり腰の目安

軽度のぎっくり腰
軽度のぎっくり腰は、歩行や仕事が比較的問題なく行えるレベルです。 椅子の立ち座りが普段通りにでき、姿勢や歩き方が大きく崩れていないような状態です。寝返りや起き上がりも可能で、動作が極端に遅くなることはありません。 痛みはあるものの、生活全体が止まってしまう状態ではないのが特徴です。
中等度のぎっくり腰
中等度のぎっくり腰とは、動けるものの痛みの影響がはっきり出ている状態です。 痛みを避けるために、普段とは違う姿勢や歩き方になってしまうことがあります。 寝返りや立ち上がりの際に強い痛みが出て、動作に時間がかかるようになります。 立ち座りがつらく、座っているだけでも痛みが増してくる場合もあります。 無意識に体をかばいながら生活している状態です。
重度のぎっくり腰(早めの受診が必要な状態)
次に、注意が必要な重度のぎっくり腰についてです。
数歩の歩行も困難なほど痛みが強く、寝返りや起き上がりも困難な状態であれば、重度のぎっくり腰といえます。このような場合は整形外科へ受診し、医師の指示に従いましょう。
・足にかけて強いしびれが出ている
・発熱を伴う腰痛がある
・排尿や排便の異常がある
・転倒や交通事故の後の痛み
といった状態の方は要注意です。
ぎっくり腰ではなく、他の病気が隠れている可能性がありますので、整形外科へ受診されることを強くお勧めします。
症状別の正しい対処法
軽度のぎっくり腰の対処法
軽度のぎっくり腰の場合、基本は普段通りの生活を続けることが大切です。
長時間同じ姿勢を続けることは避け、30~60分に一度は軽く体を動かすようにしましょう。
仕事中であっても、短時間の小休憩として簡単なストレッチを取り入れることで、腰への負担を軽減できます。
コルセットは常に着ける必要はなく、痛みが強い期間のみ補助的に使用するのがポイントです。
こちらで簡単にできるストレッチをご紹介しています
https://www.moriseikei.or.jp/blog/gikkuritaisyo/
中等度のぎっくり腰の対処法
中等度のぎっくり腰では、「動かない」よりも「動き方を工夫する」ことが重要になります。 日常生活では、腰に急な負荷がかからない動作を意識しましょう。 ベッドから起き上がる際は、仰向けから一気に起きるのではなく、横向きになってから手で体を支えて起きることで痛みを軽減しやすくなります。 寝返りの際も、膝を軽く曲げて体をひとまとまりとして動かすと、腰への負担を抑えられます。 歩幅を小さくしてゆっくり歩くことで、歩行時の負担を軽減することができます。可能であれば階段はさ階段は避けて、スロープ、エスカレーター、エレベーターなどを使いましょう。
痛みが強い時期は、コルセットなどの補助グッズを一時的に使うことで、動作への不安を減らすことができます。
無理にストレッチを行う必要はありませんが、痛みの出ない範囲で軽く体を動かすことは回復の助けになります。
こちらでコルセットや体の動かし方、整形外科が教える意外な注意点をご紹介しています。
https://www.moriseikei.or.jp/blog/arukerugikkuri/
重度のぎっくり腰の対処法
重度のぎっくり腰が疑われる場合は、自宅で無理に対処しようとせず、早めに医療機関を受診することが大切です。
強いしびれや発熱、排尿・排便の異常を伴う腰痛は、単なるぎっくり腰ではない可能性があります。
このような場合、自己判断で安静やストレッチを続けることはおすすめできません。
受診までの間は、無理な動作を避け、痛みが最も少ない姿勢で安静を保つようにしましょう。
痛みを我慢して動き続けることや、強い刺激を加えることは避けてください。
歩ける程度のぎっくり腰は安静にしすぎないほうがよい理由
歩ける程度のぎっくり腰では、安静にしすぎないほうがよいとされています。
過度な安静は回復を遅らせる可能性があることが、近年の研究でも示されています。
軽い動作は炎症を悪化させにくく、血流を保つことで回復に必要な環境を整えます。
また、筋力や関節の動きを維持することで、回復後の再発予防にもつながります。
痛みが完全になくなるまで動かないのではなく、動ける範囲で少しずつ体を使うことが重要です。
ぎっくり腰で避けたほうがよいNG動作
ぎっくり腰になってしまった時に避けたい動作もあります。 重い荷物を持ち上げる動作や、反動を使った素早い屈伸は控えましょう。 痛みを我慢して行う強いストレッチや、負荷の高い筋力トレーニングも回復を遅らせる原因になります。 腰を大きくひねる動作や、深い前屈・後屈姿勢も症状を悪化させやすいため注意が必要です。
病院を受診すべきタイミング
最後に、病院を受診すべきタイミングについてです。
重度の症状がある場合は、早めの受診が必要です。
痛みが3日以上続いているのに強さが変わらない場合や、日を追うごとに痛みが増している場合も受診を検討しましょう。
歩行がさらに難しくなってきている場合も、自己判断で様子を見続けるのはおすすめできません。
迷った時点で相談することで、不安が軽減されることも多くあります。
まとめ
歩ける程度のぎっくり腰の考え方
まとめとして、軽度のぎっくり腰は動ける範囲で生活を続けることが基本です。
中等度の場合は、動作の工夫と補助グッズの活用が回復の助けになります。
重度の症状が疑われる場合は、無理をせず医療機関を受診してください。
安静にしすぎないこと、NG動作を避けること、受診のタイミングを見極めることが、回復を早めるポイントです。
執筆者 理学療法士 宇都宮雅人

監修者 整形外科医 森裕展

